Fly Me To The Moon はぁ、と息を吐いて瓦礫の上に座り込む。
崩壊したビルの間を、冷たい風が土埃を巻き上げて通り抜けていった。乾いた空気に喉がヒリつく。
今日も生き残れた。得体の知れない機械が徘徊し人を襲うこの地獄で補給も満足に受けられないまま、なんとか命を拾っている。
『もう終わりだ! 終わりなんだよ! 俺たちは!』
狂ったような怒声が、今も耳から離れない。
TS部隊の一人だった男は、自ら敵の放った光線へ飛び込んでいった。貴重なティタノストライドを自殺行為に消費した、などと罵る者はいない。口にはしないが、誰もが薄々と感じてはいるのだろう。
「……頭を冷やしたくて、ここに来たってのにな」
自嘲気味に笑って、またため息を吐いた。
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