遊色天蓋 肩と脚部のバーニアが青い軌跡を描く。ジークアクスが高速で宇宙を飛ぶ。
軍警ザクの機動力では追いつけない。何機もの軍警ザクの連携の間を縫うように、白い機体は踊った。手にしたヒートアックスの赤い残像がザクたちをかすめ、墜落させていく。
混乱するコロニー周辺宙域に緊急停止した旅客機では、怒声が行き交っていた。
「おい! 着陸急げ!」
「ダメです! ミノフスキー粒子濃度が高過ぎて港と通信できません!」
「軍警は何をやっている! 役立たずが!」
「なあ、あれ、ガンダムなんじゃ……?」
気色ばむ男たちに、怯えた表情の乗客が顔を見合わせる。
そんな折。ごん。旅客機の片隅で、女性の額と窓がぶつかった。
目を見張る若い女性……アマテ・ユズリハが、小さな覗き窓に張り付いて戦いを凝視していた。
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