目を覚ましたケイが最初に目にしたのは見慣れてしまった寝室の天井。ぼんやりとする頭でとりあえず起き上がろうと腕を付くが力が入らない。心なしか身体が熱い。倦怠感もある。まさか…風邪でも引いたか?と思いながらも認めたくない一心で無理矢理起き上がる。
「起きたか寝坊助」
先に起きていた黒曜がタバコ片手に戻って来た。いつもより気だるげな雰囲気なのはきっと昨夜の情事の名残りだろう。ケイはまだ熱っぽさと痛みを訴える腰をさすりながらため息をつく。と俯いた時に額に何かの感触。それが黒曜の手のひらだと気づくのに時間はかからなかった。
「あ?熱いじゃねぇか」
黒曜はぶっきらぼうにそう言いながらも、ケイの頭を優しく一撫でした。それから直ぐにリビングに向かうと風邪薬と、キッチンの冷蔵庫から冷却シートと水を持ってケイの元に戻る。スマホのメッセージをチェックをしている様だがどことなく覚束ない。はあぁ…と俺は今ため息零しましたと嫌でも分かるレベルでやると、ケイの手からスマホを取り上げる。
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