妹以上セフレ以上、恋人未満 あいつらは血のつながりがあるだとか、兄妹なのに愛し合っているだとか。そんな奴らは人でなしだとか。噂は尾ひれをつけて人の口を好きに泳ぐ。だが、そんなにいいように噂されてたまるかよ。どんなに醜いと言われる奴でも心の底には美しいものがあるはずだろ。そう信じたいんだろ、人間は。俺だってそうだ。だから俺はここにいる。この腐った世界の中で、自分が信じるもののために生きている。
「…………!」
突然、胸を鷲掴みされたような衝撃を受けて目を覚ました。窓の外はまだ暗い。部屋の中も真っ暗で、ベッド脇の小さな明かりだけが唯一の光源だった。どうやらまだ夜中のようだ。
「うぅ~ん」
奇妙な声が自分の喉の奥から出たことに驚いて、慌てて口を押さえた。寝汗なのか冷や汗なのか判らないほど全身びっしょり濡れている。てろんとした生地の掛け布団が身体に張り付いていて気持ちが悪い。それに心臓が激しく脈打っているせいで、まるで耳元まで迫ってきているようだ。
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