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    huyo_1212

    絵と文のまとめ置き場です。
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    huyo_1212

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    カツシャム

    ##AIのべる
    ##文章

    妹以上セフレ以上、恋人未満 あいつらは血のつながりがあるだとか、兄妹なのに愛し合っているだとか。そんな奴らは人でなしだとか。噂は尾ひれをつけて人の口を好きに泳ぐ。だが、そんなにいいように噂されてたまるかよ。どんなに醜いと言われる奴でも心の底には美しいものがあるはずだろ。そう信じたいんだろ、人間は。俺だってそうだ。だから俺はここにいる。この腐った世界の中で、自分が信じるもののために生きている。

    「…………!」
     突然、胸を鷲掴みされたような衝撃を受けて目を覚ました。窓の外はまだ暗い。部屋の中も真っ暗で、ベッド脇の小さな明かりだけが唯一の光源だった。どうやらまだ夜中のようだ。
    「うぅ~ん」
     奇妙な声が自分の喉の奥から出たことに驚いて、慌てて口を押さえた。寝汗なのか冷や汗なのか判らないほど全身びっしょり濡れている。てろんとした生地の掛け布団が身体に張り付いていて気持ちが悪い。それに心臓が激しく脈打っているせいで、まるで耳元まで迫ってきているようだ。
    「あぁもうくそ!なんなんだってんだ畜生!!」
     布団を跳ね除けて起き上がり枕元の目覚まし時計を見る。時刻は午前三時を回ったところだった。そして部屋のひんやりした空気で自分が服を着ていないことを思い出した。
    「うるさいぞカーツ。静かにしろ」
     布団を引き剥がされたシャムが怒鳴ってきた。窓からの光に照らされた丸いふたつの乳房と背中の曲線がより艶めかしい。
     そうだった。寝る前にシャムを抱いたんだった。あの後シャムはてっきり自室へ帰ったと思っていたが、隣で眠っていたらしい。
    「ああ悪い。起こしたか?」
    「嫌な夢でも見たか?」
    「また、いつもの夢を、見たんだ」
     カーツはため息混じりに起き上がった。そして壁際に置かれた小さな棚の上に置いてあった水差しを手に取りコップに注ぐと、それを一気に飲み干した。
    「おまえも飲むか?」
    「ああ貰うよ」
     受け取った水をシャムと同時に一気飲みして、やっとひと心地ついた気がする。
    「また、あの夢か」
    「あいつらがさ……俺のことを、笑うんだ。何もかも全部知ってて笑ってるんだ。俺はそんなことしたくないのに、あいつらは勝手にどんどん話を進めていっちまう。最後にはみんな一緒になって笑い出すんだ」
    「それはただの夢だ」
     シャムはぴしゃりとカーツの言葉を切り捨てた。修業のときと変わらない、いつも通り淡々とした口ぶりだったが、その言葉はたしかな意志の強さを感じさせ、同時に温かみを帯びていた。確かに彼の心に届いたようで、それまでどきどきと拍動していたカーツの心臓の音は次第に落ち着いていった。
     やがて彼はぽつりと言った。自分は本当はそんなことをするつもりはないのだけれど、周りの連中にいつも嫌われてしまうのだという事を。彼が10歳のとき父と母を喜ばせようとポケモンバトルのジュニア大会で優勝したときも。父と母に初めて甘えた時も。これまでの人生すべてがその繰り返しであったと。
     シャムはその言葉を黙って聞いていた。
    それからしばらく考えた後、ゆっくりとこう言った。
    「カーツ、もし私が本当にお前のことが嫌いなら、私は首領様に申し立ててとうの昔にペアを解消しているだろうね。そうしなかった理由はひとつだけだ。我々はお互いを必要としているからだ。父さんと母さんの代わりまでは私はできないが、おまえのことは誰よりも愛しているつもりだ。だから、たとえ他の人から何を非難されても、我らの関係だけは否定させない」
    「でも、もしも。もしもだ。お前にいつか男ができて、俺以外の男を選んだとしたら?その時、お前はそいつの所に行ってしまうんじゃないのか?」
     シャムは少しの間考えてから答えた。
    「その時はその時だ。でも、いつまでもおまえの味方でいることは変わらない」
    「…ありがとう」
    「礼を言う必要はないさ。家族なんだから」
     シャムはその後何事もなかったようにカーツの隣で眠りに落ちた。しかしカーツは一向に寝付けずに頭が真っ白になっていた。なぜ、あんなことを自分はシャムに尋ねたのだろう。シャムに男ができたらどうするか、などということを。


    「カーツ、朝食の時間だ」
     階下から聞こえてきたシャムの声に、カーツは重い瞼を開いた。
     まだ眠い。シャムは自分が起きるよりも早く自室に戻り、身支度を済ませてしまったらしい。今日もまた長い修業の一日が始まるという憂鬱感を抱えながら、なんとか身体を起こす。
     洗面所で顔を洗い、寝癖のついた髪を櫛で整えたあと、仮面を被った。鏡の中に映ったいつもどおりの無表情を見てふと思った。
    ――そういえば、昨日も起床時刻ギリギリまで寝ていたな。寝坊など滅多にしない自分が、ここ数日ずっと寝不足が続いている。あれだけしつこかった悪夢はいつの間にか見なくなったというのに、なぜ寝不足が続いているのか。その理由は判っている。
     シャムのことばかり考えているからだ。
    あの夜、訳のわからぬまま尋ねてしまった「もしも自分以外の男が現れたら」という問い。なぜあの時口走ったのかあれから幾度となく思案したが、結局カーツ自身にもわからなかった。それに彼女はあまり迷うことなく、「その時はその時だ」と呟いた。それはすなわち、カーツに対して恋愛的な感情を持っていないという意味に等しい。よく考えれば当たり前のことである。いわば自分たちには家族という間柄と、自分たちが男と女だと言うだけの理由だけで付随した簡素な肉体関係しかないのだから。
     世間でいう恋愛感情など自分とシャムの間にはない。考えれば考えるほど胸の奥が苦しくなる。彼女が性感に溺れている表情は幾度となく見てきた。喘ぐ声もたくさん聞いてきた。しかしそれだけでは物足りない。彼女の笑顔が見たい。彼女の笑う声が聞きたい。しかしそれでは義理の兄が義理の妹に好意を持っているなど、いわば近親相姦の関係ということになる。それが彼女に知れたら、きっと彼女は自分を軽蔑するに違いない。いや、それだけでは済まないかもしれない。この関係を知った人間は、きっと今まで以上にこの関係を蔑み、嘲り笑う だろう。それは耐えられないことだ。
     だから、隠さなければならない。誰にも知られてはいけない。もちろん、シャムにも。
    「早く行くぞ。朝食の時間に間に合わなくなる」
     仮面をつけたシャムがドアの隙間から覗き込んできた。カーツがいつまで経っても出てこないことにしびれを切らしたらしい。
    「ああ、そうだな。先に行ってていいぞ」
     シャムはまだ何か言いたげだったが、それ以上何も言わずに部屋を出て行った。
     部屋にひとり残ったカーツはしばらくその場に立ち尽くしていた。今の自分は本当の意味でシャムを愛していると言えるだろうか?家族への親愛の情を、実の妹に対する愛情を、恋愛感情だと勘違いしているのではないか? 義理の妹でありながら肉体関係もあるシャムとの関係はたしかに側から見れば歪だが、今さらこの関係を断ち切ることはできそうもない。ならば、隠すこともせずに、このまま彼女を自分のものにしてしまえばいいではないか。いまの自分たちの関係に足りないものを補えば、そうすればすべてが解決する。何が足りないのかはもうわかっている。

    「シャム。俺はお前の全てを必ず手に入れる。身体も気持ちも全てを俺だけに向けさせてやる。俺たちは、家族であり恋人同士になるんだ」
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