ふかしぎせいかつよく晴れて寒い日だった。
玄武は寒い手をこすりながら、外で落ち葉掃きをしている雨彦のために茶を淹れた。夫婦湯呑みに湯気と香り立つ緑茶を淹れると茶柱が立ったので嬉しくてそれを早く伝えるために駆け足で外に出た。生垣の向こうに二つの耳を見つけ玄武は胸が弾む。
「アニさん、茶が…」
そこまで言いかけて玄武は一歩出た足を引っ込め、さっと身を生垣に隠す。雨彦の前には見たこともない黒い耳の兎の娘が立っている。雨彦と何か一言二言話すと彼女はふっと笑ったのが見えた。そして、雨彦もそれに釣られて気が緩んだのかぽんぽんと優しく彼女の頭を叩くように撫でた。
ふわっと花が色づいたように彼女は頬を赤らめる。それを見た玄武は耐えられなくなってしまい家に戻った。
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