まだ半分夢うつつの気分のまま、ふらり、ふらふらと屋上への階段を一歩一歩登っていく。
重たい扉を開けると同時に纏わりついてきた風はこの季節にしては存外涼しく、ほんの少しだけ脳が覚醒に近づいた。
探していた相手はすぐに見つかった。
朝というよりは夜に近い、そんな薄明かりの中でも恵まれた体格はシルエットですぐ分かる。
陽の光のもとでならキラキラと輝く金髪はさすがにこの暗さではよく分からないけれど、さらさらと風に靡く一本一本が綺羅、綺羅と瞬くように見えるのは、俺が寝ぼけているからなのだろうか。
「ローラン」
「!。立香、なんだ起きたのか?」
「そっちこそ」
「なんか眠れなくてなぁ」
手すりにもたれ、カラカラと笑う腕にわざとらしくドンとぶつかる。
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