ハッコルSS「ひだまりの香り」 いつものようにハッサクは、南三番エリアの上空をカイリューに乗って飛行していた。緩やかに過ぎる風が金色の髪を撫でていく。眼下には岩肌が露出した道路が広がり、小さなポケモンやトレーナーの姿が見えた。あの中に、アカデミーの生徒もいるのだろう。そう思うと自然と口元が緩んでいく。
ふわり、と甘い匂いが鼻を掠めた。目的地最寄りのポケモンセンターが見えてくる。
カイリューがハッサクに合図するようにひと鳴きした瞬間、急降下をはじめた。しがみついていないと吹き飛ばされそうになる勢いだ。それでも当の本竜は無邪気に笑っているように見えた。
「ご苦労様ですよ」
センターの停留場に降り立つと、ハッサクはカイリューの頭を撫でて、ボールに戻した。
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