シンギュラーズ・パーティー-SXP- 補完小説 「全員、こっちに注目!」
今日も事件捜査で慌ただしい刑事課の室内に、刑事課課長のよく通る声が響いた。
朝早くから何事か、と手の空いている者たちが振り向くと、普段はどこか飄々として、課長という立場にしては少し頼りない彼が、珍しくキリッ、と威厳のある雰囲気を醸し出しながら部屋全体を見渡せる場所に佇んでいた。その隣には見慣れぬ妙齢の女性が一人並ぶように立っている。
まだあどけなさが残る可愛らしい顔立ちは緊張のせいか硬く強ばっており、健康的でしなやかな身体もまるで石像のようにカチコチと固くなっているのが見てわかった。
新入りさながらの初々しい姿を見ることで、ここ最近の度重なる事件によって多忙を極めていた刑事課一同は、世間ではもう新年度の季節だという事を今更ながらに思い出した。
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