蓮は考え込みつつも、熱したフライパンにバターを落とした。じゅわと音が立つと同時に、香ばしい匂いが漂った。ボウルの中の卵液を箸でちゃかちゃかとかき混ぜて、バターで塗れたフライパンに流し込む。
いままで通り二人分の食事を用意しているというのに、そばに立っている人が違うだけで、どうにも落ち着かない。
卵液が固まり切る前にフライパンを傾けて、ふちにそって形を整えていく。ある程度火が通ったのを確認して、先程つくったチキンライスの上にのせる。真ん中から割るように包丁を滑らせれば、ふわとろオムライスの出来上がりだ。
少し悩んで蓮はケチャップの容器をマリィに差し出した。マリィがぱあっと表情を輝かせる。料理している間、じっと見つめられていた。
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