11/10広大なヌビア学研究所の敷地内を駆け回る。
カステルとセーヌは、ある男の姿を探していた。
カステルは細い足を屈伸させてストレッチをしながら、セーヌに尋ねた。
「ラリベラ、いた?」
「全然…見当たりません」
セーヌは量の多い髪を僅かに揺らして答える。カステルは、うーん、と唸った。
事の始まりは、こうだ。
『アイちゃんとテーネのお誕生日と合わせてパーティーしようって言ったのに、ラリベラがいない!!』
11/8に誕生日を迎えたテネレが、昼間、食堂でランチを楽しむカステルとセーヌにそう告げてきた。カステルは、二日前の記憶をたどる。確かに、カリスマの双子は、そんな事を言っていた。
『忘れちゃったんじゃないのかな、ラリベラのことだし』
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