ルキ探🦎🧲 猙るろ帰らずの森。この森に入ったら最後、誰も出られない。伯爵達がそう言っていた。上級血族でも手を焼くような怪物が住んでいる。だから絶対に入ってはいけない。僕なんかでは、何も出来ずに殺される。そう耳にタコができるくらい言われた。
その森を僕は走る。走って走って、もうどれほど経っただろう。帰り道なんかとっくに分からなくなった。それでも何を目指すでもなく走り続けている。
行く場所なんかない。それでもこのままただ死や滅びを待つよりはずっといい。止まってはいけないんだ。死ぬなって、生きろって、言われたから。
脚が痛い。お腹が空いた。頭が回らない。とっくに人間から外れて常軌を逸した力をもつはずの肉体ですら悲鳴をあげている。息が苦しい。肺がひゅうひゅう鳴って、視界が潤んで、脚が縺れた。木の根に躓いたらしい。身体が浮く。
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