オベヴォ♀と村キャスがダブルデートする話1「服が欲しい」
「服?珍しいね、どこか出かけるの?」
「そうじゃないけど、理由がないとだめ?」
「そんな事ないさ。君が何かを強請ってくるのが珍しかったから聞いただけ。で、どこに行くんだい」
「や、あの、ひとりで、買いたくて」
というやりとりをしたのが先週。
興味津々のオベロンの目を盗んでの買い物はなかなかに難易度が高かった。
ヴォーティガーンは胸に抱えたファンシーな紙袋を開けて、ドキドキしながら中身を取り出した。
買ったのは白いレースのワンピースだった。
初めて欲しいと思った服だった。
シンプルながらレースをあしらいところどころにリボンをアクセントにしたガーリーなデザインは、ヴォーティガーンのクロゼットにはなかった。本当はこういう服が好きなのだけれど、それをいうのが恥ずかしくていつも我慢していた。
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