日常 六畳ほどの部屋の真ん中に鎮座するローテーブル。そこに置かれた雑誌やリモコンを床に移動させた。濡れた布巾でテーブルを拭いていると、台所のほうから皿を持った外岡がやって来た。
「適当によそったけどおかわりはあるから」
そう言って歌川の前に置かれたのは大皿に盛られたカレーだった。具の大きさは均等だが量は少なく、汁が多いせいで水っぽく見える。肉は鶏だった。
運び盆がないせいで台所と部屋を何度も往復する外岡を歌川はただ眺めていた。じっとしているのは申し訳ないから手伝うと言ったのだが「お客だからゆっくりしてよ。それに狭いから一人のほうがやりやすい」と断られてしまったのだ。
改めて周囲に目を配る。部屋にあるのはシンプルなワークデスクとベッド、小さなチェスト、そしてこのローテーブルだけだった。来客を想定しているのか座布団は二枚ある。
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