共犯者の旅 キメラになった妹を人間に戻し、島の迷宮の騒動を収めた後、ライオスは俺との口約束をきちんと果たしてくれた。お互いの仲間を誘って地上の居酒屋でよく食べよく飲み、ボヤけた頭で今までのこと、これからのことを徒然と語り合う。己が成したことがどれだけの偉業か分かっていないこの男は、魔物への興味を除けば、不安になるほど無欲で、良いやつだった。だから俺はその欲に目をつけて、他の迷宮を踏破する旅にライオスを誘った。あんなに危険な目に遭ったのにまた迷宮に入るなんて正気じゃないと、近くにいた誰かが警告してきた。それもそうだと思い、すぐに無理にとは言わない、と告げて、ぬるいエールを飲み干した。酔いでぼやけた視界の中で、一瞬驚いた顔を浮かべた彼の蜂蜜色の瞳がぐらぐらと揺らいでるのがはっきりと見えた。
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