おまえにだけみせたい②Day.3
「よし、今日はこれで終わりだ。良くがんばったな」
テスカトリポカの一声で、デイビットの全身に入っていた力が一気に抜ける。
は、は、と肩で息をするデイビットを労わるように、血の滲む膝裏をガーゼで拭う。前回同様にワセリンをたっぷり塗り、新しいガーゼを当て、テープで固定する。ぴく、と痛みで僅かに動く脚をものともせずに手際よく処置をしていく。
「……ん、今回は、大丈夫だったよ……」
「ほう?そうかい。ならよかった」
強がりのセリフにふっと笑うような息が漏れた。
こちらを見る紫色の瞳に薄く膜を張る涙は、今回はあまりこぼれなかったようだった。テスカトリポカは、その蜂蜜色の豊かな睫毛に乗る雫が、瞬きのたびにぽろぽろと煌めくが好ましいな、と不自然に思われない程度に見つめる。
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