帝徳if[2]褒めても貶しても面倒臭い男、飛高。自信が無く卑屈になりがちだが努力は怠らない実直さがある。その、良く言えば理想が高く自分に厳しい男は、二年へと進級した年に新入生である奎と帝徳高校で出会った。
《先輩と後輩》
野球部のレギュラーとして、ピッチャーポジションの飛高と捕手ポジションの奎が組み合わされるのは当然の流れだった。1年への指導を含めたペア期間で交流する二人。
奎は飛高を否定も肯定もしない。それは彼をまだよく知らないだけで判断出来る材料が無いからなのだが、他の一年生は気を使うか、スルーするかだけだったのに対し、奎は飛高へ普通に接し続けた。飛高が卑屈になっても面倒くさがらない人間は珍しい。あまりに酷い自虐にはツッコミを入れるものの千石のように鋭い切れ味を持っているわけではない。それは飛高の自虐をやんわりと止める効果を持った唯一無二の接し方だった。
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