虚構の愛幼い頃父親を亡くした。
外に出たはずの父がなかなか帰ってこないものだから扉を開けて様子を見に行ったら父が砕け散って血溜まりの中に散らばっているのが見えた。子供ながらにこの人型すら成していない石の欠片達が父親だと何となく分かった。
全ての欠片を回収する事は子供の手にはまだ難しく、魔法も覚束なかった私はことさら大きかった欠片の1つを手に取りそれ以外はわんわん泣きながら土に埋めた。血という粘性の液体が放つ嗅ぎなれない匂いと父の気配が入り混じる違和感の中、丁寧に丁寧に土を被せた。
父親は出来た人だった。
西の国で魔法使いであることを隠して生きて、母と結婚をして、順風満帆な人生だったと思う。そんな幸福な生活の中、不幸なことに魔女の私が誕生した。
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