鬼の花嫁《幕間 壱ノ型》《幕間 壱ノ型》
光色のこびとに手を引かれ、炭治郎は澄み切った青空のような世界の中、目の前に広がった一本の小道を歩いていた。
この小道を一体、いつから歩き始めてのかは分からない。覚えてもいなかった。ただ、気がつけばこの世界にひとり降り立っていたのである。小さな手が炭治郎の手をぎゅっと握ったところで、彼女ははっとする。
「――……そう、か。俺は、先に逝くことになってしまったんだ……あのひとを置いて……」
後を追わないでとお願いしたけれど……大丈夫だろうか……?
いいや、追わない。きっと、追わずにいてくれるはず……ひとである心を忘れずにいてくれたことを俺は知っている。
彼なら……杏寿郎さんなら、きっと。寂しくても我慢してくれると……!
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