雛鳥雛鳥
最初は枝でも落ちてきたのかと思った。
それほどに軽く、他愛もない重さで自然とぽとりと落ちてきたのだ。
しかしそれはぱちぱちと瞬きをし、自分の身に何が起きたのか理解できていない風体で、視線がぶつかると泡をくって手足をばたつかせるものの当人も想定していないことだったのか、自分の手足さえ「どのようになっている」かわかっていないのかふとした拍子に彼が手にしていた本を蹴り上げてしまった。
軽く舞い上がりぱさりと「それ」の腹に落ちる。
「落ち着け」
ぽんと頭を撫でてやるとようやくそれはひとまず動くのをやめた。
「ごめんな、さい」
すっかり怯えてしまった声にそれほど怖い顔をしていただろうかと青年はふむと息を吐く。
「見たところ…夜叉か」
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