Detective ぴろろん、とクロエのスマホが着信を知らせた。
「はい。もしもしラスティカ? 今から? もちろん出られるけど……」
電話はクロエの友人であるラスティカからだった。
「……ああ! 待って。待ち合わせじゃなくて俺が行くから。ラスティカは家にいて!」
大慌てでお出かけ用のバッグを持って、それからやっぱりラスティカの横にいてもおかしくないおしゃれな服に着替えたクロエは家を飛び出した。
「依頼が来たんだ」
全速力でラスティカの家──といっても短距離走レベルのご近所さんなのだが──に駆け込んだクロエは、案の定寝癖まみれのラスティカの髪を梳かしていた。
もしゃもしゃの頭に丁寧に櫛を入れながら、依頼の内容を聞いていく。
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