白い百合の花を体のどこかに咲かせる白百合の人。彼らは明るい日の光を浴びながら美しい街と共に生きている。その中に稀に『祝福』を授かるものがいる。『祝福』は白百合の人に幸福をもたらすとされる。
黒い百合の花を体のどこかに咲かせる黒百合の人。彼らは暗い日の当たらない場所でひっそりとくらす。生まれながらに体に『呪い』を受けており、その呪いは人により強さが違うが、どれも不気味と称されるものばかりである。
そのどちらも神から贈り物を受け取ってしまった人は短命であるらしい。
◎
日も暮れる頃、白百合の街から黒百合の街に続く細く整備されない道に一人の少年が倒れていた。
白色の花が綺麗な金髪の少年だ。どこかに向かおうとした途中だったのだろうか、ひどくボロボロで疲労しきっている様子である。
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