💐 この顔が花を持つともはや嫌味だよな、と隣を歩く部下を見やり、キースは反対方向へ煙を吐き出した。
消えゆく白い煙の向こう、続く景色は見慣れたそれよりも洗練されている。青や白を基調とした高級感漂うブルーノースの街並みは、担当しているイエローウエストとはかけ離れている。けれどキースとしては、あの騒々しくて雑然としている街並みの方が好みだった。
落ち着かなさを飲み込み、煙草を咥え直してもう一度隣の男を視界に入れる。制服のままフラワーバスケットを腕に抱えて歩くフェイスの姿は、むしろこの街にこそ馴染んでいるように見えた。
「……何?」
キースの視線に気づいたフェイスが、訝しげに整った顔を歪める。それに緩く頭を振り、肩を竦めて煙を吐き出す。
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