夏祭り / めぐまき+虎釘 夏祭りに行きたいと最初に言い出したのは釘崎だった。上京して初めての夏、高専の麓の街でそこそこ有名な祭りがあると知り、絶対に行きたいと強く主張したのだ。
指名での任務が入ってしまった狗巻が泣く泣く諦めて、気軽には外を出歩けないパンダがいじけながら留守番を申し出て、予定の空いていた真希が一年生三名を引き連れて出かけることに決まった。彼らより一年長くこの街に住む真希も、去年の祭りは通りすがりに眺めた程度で遊びに行くのは今年が初めてだという。
夕方五時に学生寮の正面玄関前に集合。そこまでは何の揉め事もなくスムーズに決まった。せっかくだから浴衣を着たい、一緒に着よう、と釘崎が真希を説き伏せ始めた頃、突然口を開いたのは狗巻だった。
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