「わたし」と白百合 ――どうしてこの人は、突然わたしと散歩がしたいだなんて言ったんだろう。
並んで歩き出したはいいものの、オルテア親衛隊所属の軍人だというこの女性は、時折たわいもない話をするばかりで、さっきの話については一言も触れない。
誰かと一緒に行動するのは、この冒険団に入ってからが初めてだったから、たまに人との距離をはかりかねる時がある。セプティムたちが話しかけてくれるのは嬉しかったけれど、自分がその優しさにちゃんと応えられているのか、よく分からなかった。だから今日も、あんな話をしたせいでこの人に気を遣わせてしまったのだとしたら、申し訳ないと思う気持ちの方が強かった。
そっと隣を見る。日の光を浴びて、彼女の銀髪がきらきらと光った。
2497