バニラ「なあ、君……」
とある昼下がり、隣で装備品の手入れをしているチェンバーに羨ましそうな視線を向けるKAY/Oが、ふと声をかけた。
「なんだい」
「思い出したんだが、君、この前カップアイスを食べていただろう」
「あぁ……ジェットに貰ったお土産の?」
「そうだ」
あれはなかなか素晴らしかった、と味を思い出したのかニコニコとご機嫌に笑む。KAY/Oはそんなチェンバーの口元を指差した。
「冷凍庫から出したばかりで、少し硬そうにしていたな」
「ああ、少しだけね」
「その時の、アイスをスプーンですくう時の君の口元が……」
そろりと唇に触れ、ふにふにと摘まんで弄ぶ。
KAY/Oはキスのかわりに、時折気紛れに唇を愛でる。これもまた、人らしい触れ合いを学んだ彼の愛情表現のひとつ。
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