③1.31 FRI -➁「いいか、俺に指一本でも触れたら追い出すからな」
「はぁい」
「その他にも、変なそぶりを見せたらすぐ追い出す」
「はぁい」
最低限のルールを提示しながら部屋の鍵を開ける。
いつもなら15分の道も、慣れない雪に足を取られて倍近くかかった。変な力が入って身体中バキバキだ。
杉元は鼻の頭を赤くして終始ニコニコ笑っている。
「飯は鍋。文句言うなよ」
「え!飯もいいの!ありがとう!」
何だよ。さっきっからいたく素直じゃねえか。調子が狂うな。
「さっさと風呂入っちまえ」
「はぁぁい!」
風呂から上がっても、テーブルの準備をさせても、杉元は終始ニコニコ笑っている。何がそんなに楽しいんだかわからんが、その顔のその表情は嫌いじゃない。
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