アプリコットの花言葉 型にチョコレートの生地を流し込む。砂糖とバター、真心も込めて。授業で惚れ薬のことを習ったけど、愛の妙薬を加えるなんてもってのほか。あぁ…でもさっきアプリコットを煮詰めていたときに不安な気持ちが混ざってしまったかも。
(先生ならきっと喜んでくれるよね)
不安な気持ちを払拭するように首を振る。ここからの作業はとくに集中しないといけないのだから。魔法で生地を無事焼き上げる、でも出来上がった生地をスライスする手は、震えてしまった。なんとか半分に分けた生地の片方に、作っておいたアプリコットジャムを塗ってもう一枚を重ね合わせる。甘酸っぱいジャムが挟まれた生地の上からほろ苦いチョコレートをたっぷりとかけていくさまは、淡い恋心に蓋をする臆病な自分を見ているようだった。
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