「何でそうだらしの無い格好をするんだ」
いかにも金持然とした物言いに嘲笑が半分、向こうから気を回すなんて珍しいと困惑が半分ぐるりとスティールで混ぜられる。既に彼の腕によって美味しくいただいたものが腹にあったのでそれを飲み干すのに時間がかかってしまった。
素面のディルックは一時の逡巡も待たずそれだと手で促す有様だ。顎でないだけ喜ぶべきだろうか?
微かな苛立ちに急かされガイアはフンと鼻で笑う。
「そう見つめるなよ。生憎、普通に売ってるものでは中々体に合わなくてな。ほら、身長はあるのに腰は高くて細いだろ?悩ましいぜ」
「オーダーすれば良いだろう」
「お前なあ...礼服はきちんとあるけれど、全部そんなことできるほど騎士団は払が良くないのでね」
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