マリッジ・ブルー 大学四年生の秋。宇髄の就職先が決まった。第一希望が通って、煉獄が自分のことのように喜んでくれたのが嬉しかった。少し良いところで、食事でもしよう。そう誘われて、よくこんなところを煉獄が知ってたな、なんて思うようなレストランで食事をした。その帰りに、人気のない公園を手を繋ぎながらほろ酔い気分で歩いて。少し開けた場所で、煉獄が足を止めた。どうしたのと問うと、煉獄がぎゅうと宇髄の手を強く握る。煉獄の顔が、段々赤くなっていて、それを見てると何を言いたいのか、なんとなくわかる気がした。
だから、心の中で宇髄は叫んだ。
——お願い、それは、言わないで。
でも、腹を決めて然りと宇髄を見つめたその瞳に飲み込まれて、口には出せなかったのだ。
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