猫の休息「ジョシュア、様?」
不死鳥騎士団の宗主とその警護を務める者として、絶えず傍らにいたというのに思わず疑問符をつけて名前を呼んだのはいつもとあまりに様子が違ったからだ。
大部分は変わらない。けれど、けれども。その頭についた獣の耳、背後でゆらりと揺れる髪色と同じ尻尾。そして、そして、
「にゃあ?」
気を失うかと思った。
いや、思わず呆然としてしまったのだから、本当に気を失ったようなものだった。だが、ざり、と頬を舐められてようやく意識が戻る。
「ジョ、ジョシュア様!」
従者として恥ずべき事だとは思ったが、思わず慌ててしまったのは、現在の状況にある。ベッドの上でジョシュア様に覆い被さられているのだ。どうにか抜け出そうと肩を押しながら上半身を起こし、ずるずると這いずっていると肩を押していた腕を捕られて手の平をべろりと舐められる。
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