世界で一番大切なもの「一番大切な物は、しっかり鍵をかけて管理しなさい」
初めて自分たちで戦利品を手に入れた日、レイリーさんから宝箱を渡された。
「お前の宝箱、ガラクタと食い物ばっかだな!ギャハハハ!」
バギーが俺の宝箱を覗き込み、馬鹿にするように笑った。いつものことなので、適当に笑って流す。お宝に興味がないおれは、価値のありそうな物を全部バギーに譲っていたのだ。
ヒトの宝箱のお菓子をひょいとつまみ上げ、楽しそうに頬張るバギーを見ながら、おれは静かに呟いた。
「本当に大切なモノはここに入りきらねェからな…」
それは、特別な意味を込めた言葉。胡坐をかいた上にすっぽりと納まる大きさの宝箱をパタンと閉じ、バギーの瞳を真剣に見つめた。おれの言葉に、菓子を舌で転がすのを止め、バギーは目をまん丸にする。頬は興奮からか紅潮していた。
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