薄暮時日が暮れるの、早くなったな。
学校からの帰り道、ふと立ち止まると赤く染まった空を見上げた。今日は部活がないからこの時間に帰れるけど、部活がある日は真っ暗になってしまっているだろう。
やだなぁ。
部活は楽しいけど、真っ暗のなかを帰るのはちょっと怖い。最寄駅の近くは明るいけど、少し離れれば街灯の数もそんなに多くはない。
そんなことを考えていたら、ドンと衝撃を受けた。
「あ、ごめんなさい」
立ち止まっていたせいか、誰かにぶつかったようだ。咄嗟に謝ったけど、周囲に人影はない。
「あれ?」
それどころか、確か街中にいたはずなのに知らない場所にいた。
「え、どこ、ここ」
家もなければ人もいない。見渡す限りの原っぱに、道が一本だけ。いつもなら綺麗に思える真っ赤な夕焼けも、今は不安を煽るだけだ。
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