会社員八木さん×大学生志津摩くんの現パロ(題名未定) ふいに鼻腔をくすぐる石鹸のにおいに足をとめる。だが、すぐにまた歩き出した。これじゃない、とつぶやきながら。
この香りは先ほど既に嗅いだものだった。また同じところに来てしまったようだ。
次に香ったのは清涼な石鹸とは正反対の、鼻の奥にこびりつくような甘い香り。癖の強い香りに八木は思わず眉をしかめる。あまりにおいが強すぎるものは彼の好みではない。
仕事終わりに駅ビルの大型雑貨店で自分の部屋に置くディフューザーを探していたのだが、人一倍に匂いに敏感だった彼は、なかなか自分好みの香りを見つけることができなかった。
「あの……何かお探しでしたか?」
ラベルとにらめっこしている八木の背中に突然背後に突然声がかかる。振り向くと大学生だろうか、若い男の店員がこちらを見上げている。
4757