雑に読める現代召喚鄭弓「アーチャー……一通り手続きはしておいた、これを首から下げていればとりあえず怪しまれることはない」
「ああ、すまんな」
手渡された四角く固い紙片に紐が結び付けられたような代物──あいでぃかあど、と言うらしいそれを周瑜は興味津々に眺める。
何の因果か三国の時代よりも1900年後──もはや気の遠くなるほど未来の日の本、それも赤坂の霊地へと召喚された逸れのアーチャーこと周瑜は、輪に輪をかけて因果なことに妙ちきりんな形の巨城の前で猫にじゃれつかれている所をかつて自身の喚び人であった男に保護、よく言えば招致されていた。男の名は定明。明代最後の将軍、鄭成功の生まれ変わりであり、この妙ちきりんな巨城の城主──もといスタイリッシュなビルディングのオーナーである。港区にはスタイリッシュなビルが多い。
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