【イザアル】不届き者にアルヴァが傷付けられる話その日、ジョンと珊はいつもの様に畑を耕し、収穫した作物を売るべく橋を渡る。
「ジョン!海に行きたい!」
カモメ町に住み始めて早くも1年弱が経った。 金欠だった生活はもう遠い昔のようで、今では体力の限界まで農作業をする必要も無く、ある程度こなしたら釣りや料理に割く時間も増えた。
ジョンが珊の要望に応えるように頷くと、小さな身体は嬉しそうに飛び跳ねる。
「今日は魚料理だね!…あれ?ねぇ、ジョン。皆がいないよ…?」
橋を渡り終え、いざウィリアムの店へと向かった足がピタリと止まる。
いつもなら、すぐにウィリアム一家やブラザー建設の誰かを目にするところだが、珍しく誰の姿も見当たらない。
研究所のある高所を見上げても、そこにイザベルの姿は無かった。
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