キトンブルーのそのあとに まだ日も昇りきっていない薄暗い早朝。まるで世界に自分しか存在していないかのように感じさせる。昼間とは違う、静まり返った魔法舎の朝。
ネロは朝食の支度をする為欠伸をしながら身支度を整えていた。まだ肌寒く寝床から起き上がることは辛くはあるが、早起きをして誰かの為に食事を作るという行動自体は嫌いではない。
コンコンとかなり控えめな普段なら聞き逃してしまうくらいのノック音がネロの耳に届いた。こんな朝早く人が訪ねてきた事なんて今までにはなかった。
突然の訪問者の心当たりが無いネロは小さく首を傾げドアノブに手を掛け耳をそばたてる。
「……?」
ドア越しに仄かに感じる魔力の気配は自分に対して悪意のあるものではないことをネロは感じ取ることが出来た。
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