続・脱走「……あ。」
「うおっ、なんだよ急に止まるんじゃねぇ!」
小柄で眼鏡をかけた壮年男性の姿だが右腕だけは本来の姿を模っている電気百足は、自身の閉じ込められていた部屋から数歩出て立ち止まる。続いて出た、釘バットを手にした傷だらけの青年の姿の電気百足は、すんでのところでぶつからずに済んだが代わりに苛立ちを口にした。
「いやぁ、な?」
彼の右腕は鎌首をもたげると、ウロウロと揺れる。
「行くあてがないんだ。どうすりゃいいかな。」
「そんなん知るか! ……あー……」
青年は思うと同時に口に出していた。しかし同属のよしみか、解放した責任を感じたのか、少し考えるように声を漏らす。
「何をしたいかでもいいんじゃねぇの。」
「ふぅん。」
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