あの世型インフル「…──はぁ」
廃墟同然のクラブ棟でりんねはため息をついた。造花の内職に勤しみながらぼんやり窓の外を見やる。
大型連休のため依頼もなく、クラスメイトも来ていない。六文は「ご飯をわけてもらいに行ってきます」と言い残して出かけていった。
貧乏暇なしというが、どうしたって仕事がないときもある。
アルバイトをしようにも現世では保護者や住所の欄に書き込む情報がない。偽造文書や経歴詐称はあいつの行動のようで避けたいところだった。現世で自立した生活をするのに一切不正はしないというのが己で決めたルールだ。たまにちょっとズルもするが、小さなプライドを守りたいと思っている。
窓際の輪郭がぐにゃりと歪み、気の抜けた音を響かせ虹色の道が広がる。黒いローブ姿のガイコツが現れた。ひらひらと手紙を揺らしながら近付くいてくる。
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