小さいルージュと大きいブルーの話 窓から差し込んでいた日差しが、地平線の向こうへと姿を隠してから早数時間。
机上に積み上がっている書類の束を端に寄せ、小さく溜息を吐く。
再び地獄を封印した後、僅かに生き残っていた者や他リージョンから救援に訪れた人々の先頭に立つ形で、マジックキングダムの復興に心血を注ぎ、早数ヶ月が過ぎた。
他の事を考える余裕もないまま、日々はあっという間に過ぎていく。
マジックキングダムに戻ってからというもの、混ざり合って一つになっていた意識はブルーのものだけが表に出ていた。奥深い場所でルージュの存在は感じ取っていたが、眠っているかのように反応がない。
だがその感覚も、日々小さくなっている。
このままルージュが消えてしまうのではないかという不安に襲われながら、今日も一日の作業を終えた。明日は休みということで、大量に持ち込まれていた仕事の中で急ぎの物だけを片付けたが、すっかり遅くなってしまった。
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