晋陽・蛮獣退治後 ―北峰・晋陽付近。
ずぅん、と最後の死霊騎士が倒れた。倒された蛮獣たちが核にしていたタオを残して光の粒となって空へと消えていく。
戦闘が終わり安堵した面々が近くの仲間と雑談に入る中、それをじぃっと眺めている榴花紅色髪の女の後ろから男が一人近寄る。
「なに、ぼぅっと見ているんだ嬋玉。見てて寒いし、依頼された群れは倒し終わったから暫く戦闘もないだろうから羽織っとけ」
ないよりマシだろ、と嬋玉の肩に石黄色の直領半臂がばさりと被せられる。
ぶっきらぼうではあるがなんだかんだ自分には甘い幼馴染を揶揄おうと石黄色の布地をついと持ち上げながら男を見上げる。
「腕の部分、なくて風入ってくるけど?あまり意味ないわよ、天化」
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