またこの光景。
もう何度見たかも覚えていない。
手を伸ばしても届かない。
幾度となく繰り返された情景。
ーーどうしたらあなたを救えますか?
「辻ちゃん」
先輩が振り返る。雲が浮かぶ真夏の青がとても鮮やかで、犬飼先輩のターコイズのような綺麗な瞳がキラキラしていて、まるで絵画を見ているような。
「どうしたのそんな顔して」
「そんな変な顔していましたか?」
「してたしてた、ほらもうすぐ着くよ」
にっと笑い彼が指差した先を見る。そこには小さな公園があった。ここに何かあるのだろうか。
「何して遊ぶ?」
……何もないかも知れない。
「遊びたかったんですか?」
「うん、辻ちゃんと公園で遊びたかったんだ」
それだけ?本当にそれだけのためにこんな小さな公園にわざわざ来たかったのだろうか。冗談を言っている顔ではなかった。
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