アニキに手練手管な手つきでおクスリ飲まされてキメセクしちゃう響也の話時計の針が深夜零時を過ぎた頃、私はとある街の片隅にある小さなレストランに足を踏み入れた。
ここは表向きはロシア料理を提供する店であるが、その一方で全く別の側面を持っている。
暗黒街───つまり不道徳な行為や犯罪などが度々起こるこの場所では、警察の目を掻い潜って違法な取り引きが数多く行われているのだ。
そしてこのロシア料理店ボルハチでは、地下2階に"ナラズモの間"と呼ばれる闇取引に使われている隠し部屋が存在する。
音を立てて軋む年期の入った扉を開け、暗い地下へと潜っていくとテーブルの向こうに一人の青年が腰を掛けていた。
わざわざその筋のツテを頼ってまで尋ねた場所は想像よりも随分と小規模で小汚い物だったが、それも薬物売買というアンダーグラウンドな響きには合っているのかもしれない。
2505