「お互いの姿に変化できるようになってね」
「できるようになったら見せにきてね」
双子から言い渡された課題は弟子たちというよりオズに課されたものであった。
フィガロにとっては姿を変える魔法など、この小さな弟弟子の癇癪を宥めることに比べたらずっとずっと容易いことだ。
現に今も完璧にオズと同じ姿をしている。普段の自分にはない艶やかな黒髪をくるくると指で弄び、ベッドへ腰掛けていた。
「次はおまえがやってみせろ」
そう言って魔法を解く。宙に浮いていた足が床へと届く。いつもの姿へ戻りふうと一息つくと、目の前に立つ弟弟子を見遣った。
「……《ヴォクスノク》」
はねる海色の髪、整えられた爪の乗る細長い指、随分と高くなった頭の位置。普段のオズとは似ても似つかない姿ではあったが。
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