「え、本当ですか。いや、知り合いの名前と同じでびっくりしました。もしかして、漢字はこれですか。本当に一緒ですね。凄いな。あの名前もう350年以上聞いたことないから懐かしさまで感じます……。友達、ですか？彼らとの関係をそんな風に言ってもいいのかな、少し抵抗感がありますね。はい。二人でした。貴方と同じ名前を持っていた人。そしてそうじゃない人。いや、やはり分かりませんね。本当に知り合いとしか言わない、そんな距離感があったから。ただお互いに知っていることがほとんどなくて、 すごく多かったんですよ。一人はもてなされたくて女の人を好きだったけど、周りに男しかいないから絶望したんですね。はい、それが私と他の一人です。いや、女ですよ。 うん？それが面白いんですか？そうだったのかな……。とにかく彼女は私たち以外の人の中で女の運命の相手を探して、とても幸せになったんです。私たちといる時は相変らず不幸に見えましたが、それはしょうがないですね。他の一人は強くてゆらゆらしてる人でした。彼の嘘はひどかったんですね。でも何故か私の話をしてるの凄く好きで、私の話をする時だけは真実だけを話しました。まあ、その真実と言うか本音はひどい事ばかりだったけど……。正直だったということに意義があったのでそのまま受け入れたんですね。え？違うんですよ。私はその時も既婚でした。彼も知っていてたし。それも面白い？そうですか？……。あ、名前が同じ人はどちらなのか知りたいんですか？さあ、どっちでしょう。ふふ。一生考えてみてくださいね。」

40年前ぐらいの話だ。俺にはA山という友達があった。7歳だった俺達は何も考えず危険地帯に入ったりもした。両親にばれたら死ぬほど怒られたけどなんというか、当時はやめるという選択肢がなかったようだ。俺達はそう言うのがあの頃から大好きでどうしようもなかった。そんなバカたちの大騒ぎような毎日が続いたある日、A山が大興奮して俺達がよく遊んでいた空地に駆けつけた。A山は息をつく暇もなくこう言った。
「俺黒いエルフとお話した！」
みんなの間に一瞬でざわめく雰囲気が漂った。今はエルフに何の感想もない時期になったが、当時は一部の地域のみ現れていた存在で会っても怖がりながら話しかけないのが普通だった。なのにエルフ、それも黒いエルフと話をしたなんて。当然俺達はしばらく黒いエルフの話で持ちきりだった。あの時出た対話の中で一番記憶に残るのがどうしてなのかこの話だ。