無題「虎於くん、おはよう!今日はよろしくね」
楽屋に龍之介の元気な声が響く。今日は二人揃っての撮影だ。虎於も龍之介に挨拶を返す。
「ああ、よろしく。……俺より先に着いてたんだな」
「うん。撮影の準備とかしてたら早く来ちゃった。それにしても楽しみだなぁー!」
龍之介は無邪気に笑っている。この笑顔を見るたびに虎於は自分の心が軽くなっていくような気がした。
「そういえば、昨日は大丈夫だった?ちゃんと眠れた?」
「あ…………」
ふと思い出したように龍之介が尋ねる。その言葉を聞いた途端、虎於の顔色が変わった。
「……どうかしたの?」
「いや、なんでもない。ただちょっと心配になっただけだ。それより、もうすぐ本番だからそろそろ準備しようぜ」
3522