「黒崎一護?」
執務室で書類に目を通していた白哉がふと顔を上げてみれば先程まで長椅子に座っていた一護の姿が見えなくなっていた。
例え書類に集中していたとしても一護の抑えようともしない霊圧が出ていけば直ぐに分かる。
それに酷く弱くなっているが一護の霊圧自体は長椅子の場所の儘だ。
ならば理由は一つである。
「……此の様な所で寝るとは、神経の太い子供だ」
執務机から長椅子へと移動した白哉が見下ろして居たのは姿が見えなくなっていた一護だ。
呑気に寝こけ、時折気持ちよさそうにむにゃむにゃと何事かを呟いている。
新緑の頃の風は確かに昼寝するには心地いいであろうが、今いるのは厳格な白哉を部屋主とした六番隊執務室である。
恋次が居れば顔を青ざめさせ一護を叩き起こしていただろう。
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