簡易結婚式 折り畳みテーブルに頭を預け、左耳を天板に押し付けて杉元が目を休めていた。そろそろそいつを畳んで貰わないと布団が敷けない。テーブルの大きさは長辺七十五センチ、短辺五十センチ、高さも五十センチくらいのもので、飯を食う時に使い、食い終わったら畳んで壁際に移していつも立て掛けていた。天板は成形板で脚は天板の木目色に合わせたスチール製で、二人分の飯を乗せたらそれなりにいっぱいになってしまう。そのこじんまりとしたテーブルの天板に上半身を預けて、胡座をかいて丸まっている背中を見つめる。散髪に行ったばかりの襟足が寒そうだ。
杉元、テーブル片付けないのか。
傍に行ってしゃがみこんで肩を叩く。顔を覗き込む。横たわった額の斜め上にスマートフォンがあり、音楽がかかっていた。クラシックか何かで珍しいと思いつつ、タップして止められるかと手を伸ばすと杉元が目を開けてそれを遮った。
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