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    hisoku

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    hisoku

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    いいフウフの日だったので
    過去作ですが探し出してきました
    前世記憶なし、尾形語り
    このパイプオルガンの音色を聴いたのが
    今日の日だったらいいなと思い

    #杉尾
    sugio
    #現パロ
    parodyingTheReality

    簡易結婚式 折り畳みテーブルに頭を預け、左耳を天板に押し付けて杉元が目を休めていた。そろそろそいつを畳んで貰わないと布団が敷けない。テーブルの大きさは長辺七十五センチ、短辺五十センチ、高さも五十センチくらいのもので、飯を食う時に使い、食い終わったら畳んで壁際に移していつも立て掛けていた。天板は成形板で脚は天板の木目色に合わせたスチール製で、二人分の飯を乗せたらそれなりにいっぱいになってしまう。そのこじんまりとしたテーブルの天板に上半身を預けて、胡座をかいて丸まっている背中を見つめる。散髪に行ったばかりの襟足が寒そうだ。

    杉元、テーブル片付けないのか。

     傍に行ってしゃがみこんで肩を叩く。顔を覗き込む。横たわった額の斜め上にスマートフォンがあり、音楽がかかっていた。クラシックか何かで珍しいと思いつつ、タップして止められるかと手を伸ばすと杉元が目を開けてそれを遮った。

    尾形、待って、俺、凄い発見したの。

    何が。というかやっぱり起きていたのか。

    ちょ、良いから、ここ座ってみ、ここ。

     とんとんと自分の隣のカーペットの上を叩いて招かれる。そこに腰を下ろした。

    それで、こうやって、お前も天板に耳をつけてみ。

     云われるがまま、天板に耳をつける。天板に共鳴して音楽が大きく響いて聴こえた。

    な、スピーカーみたいじゃないか。

     まあ、確かにそうかもしれんと思って黙って頷く。顔の二、三十センチ先に杉元の顔があり、頷いた俺を見て嬉しそうに微笑む。

    これは何の曲だ。

    讃美歌とかなんかそういうの。教会で流れているようなやつ。音が響いて聴こえることに気が付いて、パイプオルガンとか聴いたら良さそうと思って検索して聴いていた。

    そうか。

     会話が終わって二人で少しまた音楽に耳を傾ける。目を閉じて教会を思った。次に目を開いたら杉元の顔がすぐそこにあった。にじり寄って来ていたらしい。パイプオルガンの音色を聴きながら、キスをする。

    簡易結婚式。

     唇を離して杉元が冗談を云う。

    ごめんだな。

    そう云うと思った。

     杉元がにいっと笑う。耳の奥で音が鳴り続ける。胸にも届く。神も音楽も目には見えないが、音楽はこうして胸に届く。そして揺さぶってくる。なら神も、と考えて途中で止めた。誓うとしたら自分達にだけだ。にしても結婚式という言葉を杉元の口から聞くとは思ってもなかった。杉元がそんなことを考えているだなんて思いもしなかった。けれどもうすぐ二年の仲だ。そんなもんか。

    挙げたいのか。

    尾形、絶対タキシード似合うと思うから挙げたいなって。

    タキシードが二人か。

    写真館で写真撮るだけでも良いけど。予約いつにする? 見学行く? 指輪いつ買いに行く?

    気の早い。まず、俺は挙げたいとは言っていない。流石、早漏様だな。

    その早漏様にひいひい云わされている癖に、よく云うよ。

    早く今夜もひいひい言いたいな。

    んじゃあ、片付けて布団敷きますか。

     そう言い合って杉元は折り畳みテーブルを畳み、俺はせっせと布団を敷いた。
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    Replies from the creator

    hisoku

    DOODLE過去作
    湯沸室で杉と尾がお茶を飲む話です
    前世記憶あり現パロ
    尾語り
    湯沸室 喫煙をする習慣はないので、就業中の休憩といえば緑茶だ。あるいは珈琲。それと少しの甘いものかしょっぱいものを一口頬張るのが日課で、デスクワークに根が詰まり、肩も凝りそうだったので仕事の効率が落ちる前に気分を変えようとひとり湯沸室に向かった。買い置きのドリップコーヒーを淹れるために湯を沸かそうと薬缶のことを思い、買い置きのミネラルウォーターはまだ残っていたっけと思い起こしながら廊下を行く。
     スタッフルームのあるフロアの一角、廊下奥の角の階段と廊下を挟んだ少し離れた斜向かいにトイレが、その対角線上の奥まった場所にひっそり湯沸室はあった。そこは小会議室の並びでコの字に壁と壁と窓に挟まれた造りになっていて、二畳半程の広さがあり、冷蔵庫と棚、その棚の上に電子レンジ、隣に小さな流し台があった。流し台にはガス台が二口と壁にガス給湯器が備えつけてある。どうってことはない必要最低限が備え付けられている極普通の湯沸室だが、流し台が木目調の引き出しのついた懐かしい感じのする流し台で、ばあちゃん家の台所を彷彿とさせて、そこを緑茶を飲みながら眺めているだけでも癒しを覚えた。面積の狭さも落ち着く。
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