消えない痕を残したい 1 (アキデン転生オメガバパロ)「こいつはお前のじゃない」
その言葉には、苛烈な怒りが込められていた。声の大きさはそれほどでもなかったが、静かな殺気にも似たそれは、空気をビリビリと震わせていた。
しかし、アキから放たれた殺気を直に受けても、吉田ヒロフミは一切の動揺を見せなかった。
吉田は独特のミステリアスな雰囲気を漂わせたまま、薄ら笑っていた。目に落ちかかった、さらりとした黒髪に色気が満ちている。こんな男にデンジを奪われるところだったと思うと、アキの腑は煮え繰り返った。
――――こいつは、どんな風に、デンジを。
俺の、デンジを。
抱こうとしていたって、言うのか。
アキの静かに燃えるような青い目に睨みつけられて、吉田はその視線を面白がるようなものに変え、歌うように挑発してきた。
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